インドの人口
インドの経済発展に取り残される貧困層数20億人

世界人口の4分の1を占める南アジア、17%を占めるインドには、世界で最も多くの貧困層が存在している。インドは1日2ドル以下で生活している貧困層が人口の80%を占めています。(国連の人間開発報告書2005)
インドには、2億人余りの富裕層・中間層がいるとされているが、残りの8億8000万人は貧困に喘いでいるのだ。1日2ドル以下の貧困ライン未満人口は世界全体で約20億人だが、南アジア全体にはその12億人前後が暮らしているといわれている。
インド人夫婦は平均して3人の子供をもうけていると調査で分かっている。今年発表された「国家人口政策」(NPP)は、2010年までに夫婦1組あたりの子供の数を平均2人にまで減らし、2045年までに人口増加率ゼロの達成を目指している。調査は、17の異なる言語を抱えるインド国民のうち15歳から 49歳までの女性9万人への聞き取りに基づいている。
問題がある北部や中部インドのビハール、マドヤプラデシュ、ラジャスタン、ウッタルプラデシュの4州では、女性1人当たり3〜4人の子供を出産しており、出生率はほとんど減少していない。これら4州の人口を合わせると、インド全体の40%に達する。非識字率や、母親と幼児の死亡率が高く、出生率を下げられない主要因といわれている。
マドヤプラデシュ州の幼児死亡率は1000人あたり94人に達し、最も低い南部ケララ州の13人とは雲泥の差がある。南部諸州の成功は、国際水準並みの識字率のおかげでもある。問題を抱えた諸州では特に女性の非識字率が高く、貧困が深刻で、基本的な保健サービスは非効率的だ。これが妊娠のケースが多く、産前産後の女性や赤ん坊に不適切な医療が施される原因になっている。
前回の調査では41%の女性が避妊していたが、今回は約48%に増えている。しかし、大半はギリギリの時期になってからの不妊措置で、ピルやコンドームなどの事前措置を講じるケースはほとんどない。その結果、インドで女性たちは2年以内に相次いで赤ん坊を出産することになる。これが幼児死亡率の高い主な原因の一つだと「インド医療研究評議会」(ICMR)のラマリンガスワミ前会長は指摘する。
また、社会的に男児を好む風潮も妊娠が多い要因になっている。夫婦は男児が生まれるまで妊娠・出産を繰り返すのである。
予防注射の普及によって、ほとんどすべての州で幼児死亡率は減少している。しかしながら、生後12ヶ月から23ヶ月の幼児で、適切な予防注射をすべて受けているのはわずか42%しかいない。
子供の半数近くが体重不足という、栄養失調の広まりはもう一つの大問題だ。「ここは世界でも最悪の栄養不足だ」。米国に本部を持ち、調査を支援した「ORCマクロ」のフレッド・アーノルド氏は言う。過去10年間で子供の栄養失調は52%から47%に減少した。しかし、幼児の3人に2人は生後6カ月間に必要最低限の栄養も与えられていない。これが、インドに生まれた赤ん坊の11人中1人が5歳になる前に死亡する大きな原因になっている。
母親になる女性たちも、基礎的な栄養や保健衛生が不足している。妊婦の5人に1人しか、妊娠中の3回の健康診断、鉄分や葉酸の補給、破傷風の予防注射などの必要最小限の医療を受けていない。世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)は、インドの女性が妊娠関連の合併症で死亡する37の危機のいずれかに直面すると予測している。
「専門の出産施設の利用状況は改善されているとはいえ、女性の半数近くは自分の健康について発言権がないのが実情だ。医療に助けを求めずに、出産に伴う保健・衛生問題に耐えている女性が多い」。調査活動を調整したスマティ・クルカルニ氏の弁だ。出産3件中1件しか適切な医療施設で行われず、わずか40%しか医療専門家に立ち会ってもらっていない。
インドの10億人目の赤ん坊が生まれたと公式に認められた日、産児制限計画をより効果的なものにするために、インド政府は新たな人口政策を発表した。2カ月後、政府はインド初の「人口問題に関する国家委員会」を設立した。専門家や政治指導者100人で構成する委員会は首相が主宰し、人口政策の履行を検討する。
同時に、インド国会の議席数を2026年まで凍結することも決定された。産児制限で効果を上げた州では、人口が減少したことによって議会で割り当てられる議席数や国家開発基金の割り当て額が減らされるべきではないとの議論があったからである。